悠久の祈り -春宵夢想-
「馬鹿、前にも言ったろ?誰にだって幸せになる権利はあるって…。忘れた訳じゃねぇだろ?」
私は彼の腕の中で頷く。
忘れるはずがない。
一年と少し前に五稜郭で彼に言われた言葉であり、私達が夫婦になったきっかけの言葉なのだから――。
「確かに白は何の汚れを知らない。じゃあ、汚れを取り払ったら、何色になる?」
汚れている色が黒だとしたら、それから汚れの黒を取ったら――。
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