女たらしな我が主
手ほどき
「光さま、せっかくのお越しなのですが、方向が悪うございます。方違えをなさってください」
いつもはなかなか来ない光くんを、正妻さんの家の人たちが、必死で帰らそうとする。
光は、悲しそうな顔をしながら、引き上げる。
あたしには、光が心の中で高笑いしている姿しか見えない。
「よし、うまくいった」
あたしは光と共に、誰かの別荘的な家に辿り着く。
「コレミツ、腹が減った。近くの民家に行って、何か調達してきてくれないか」
はいはい。
あたしは、せっかくたどり着いた別荘で、ろくに休むこともできなかった。
...仕方ないよな。
あたしは従者なんだし。
コレまた遠くにある民家を尋ねて、食べ物を分けてもらう。
「光くん...」
「遅かったね」
ちょっと殺意を覚える。
でも、光はあたしが要領悪くご飯を調達している間に、どこからかお酒を調達してきていた。
なかなかフットワークの軽い、坊っちゃんだ。
殺意を抱いてごめんね、光くん。