女たらしな我が主
光はまた、くいっとあおる。

あたしは、自分の椀を置いて、お酒の入った椀を手に、光ににじりよる。

光は、黙って空になったお椀を差し出す。

はい、はい、おかわりね。

注ぎながら、チラリと光を見る。

いつもの数倍艶やかな瞳。

日が落ちてきたせいで、部屋の中が赤く染まる。

光の瞳も炎のように染め上げる。

綺麗なひとって...いいっ。

ちゃっかり、観賞していると、

光は目をそらさずに、お椀を口許へ運びながら、あたしの腕をつかんだ。

驚きで、目を見開く。

光をまじまじと見てしまう。

あたしから目を離さないまな、くいっとお酒をあおる。

お椀が、床に転がる。

光が、放り出したのだ。








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