女たらしな我が主
景色が暗転して、あたしはもともといた世界へ強制的に戻される。
それを切望したのに、どこからも助けは来なかった。
月明かりが、青白く、部屋の中を照らしていた。
「なかなかいい風情の庵だな」
深夜や早朝に、逃げるように、女の人の家から出ていくことに慣れてる光は、きちんと身なりを整えていた。
月明かりの中で、半分こちらを振り返りながら光はニッコリと微笑んだ。
月光さえもその美貌と妖艶な魅力の引き立て役にして。
「また、来るぞ、コレミツ」
おわり