リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『甘々』・11
「はあ…」

食べ終わった後、センパイとボクは映画館に向かって歩いていた。

学校で一緒にいても、学生達はボクの本当の性別を知っているからまだ良い。

…でも、こういう外だとな。

ふととある洋服店から、可愛い二人組の女の子達が出てきた。

そこの洋服店は、可愛い服を売っているので有名。

女の子達は買ったばかりの服のことで、話が盛り上がっている。

ボクは自分の格好を見て、ため息をつく。

「ん? どうかした?」

「あっ…と。…こういう服、可愛いなと思いまして」

ボクはつい、洋服店のショーウインドウを指さした。

マネキンは可愛い服を着ていて、センパイはそれを見て首を傾げる。

「確かに可愛いな。着てみたい?」

「えっ!? いや、どうせ似合わないんで、いいです。それより早く映画館に行きましょう!」

ボクはセンパイの腕を掴んで、その場から離れた。

けれど映画を見ている間にも、ボクの頭の中にはあの可愛い服のことが浮かんでいた。
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