子悪魔ライアス★下克上～Der Traum des Teufels～

ライアスは今更気にした様子もない。気にするのも面倒になった、というのがライアスの本音である。
「あぁ、これか。俺はただただ、のんびり生きてたかっただけなんだけど。」
ライアスはため息をついた。
「世間はそれを許しちゃくれないらしい。俺みたいな下級悪魔はいっぱいいるよ。」
「そうか。」
ノアはそう答えるとまた黙々と食事を作った端から食べていく。
食事の良い香りが漂い、ライアスの腹が鳴った。
「腹が減っているなら食べればいい。」
ノアに料理を勧められるが、
「いや、ほとんどないじゃん。」
ライアスがつっこむ。
「アンタがほとんど食っちまってるだろ。」
ノアは無言で凍らせた箱を開け、氷菓子を出してライアスとドリウスに渡す。
「どもっす。」
一応礼を言うドリウス。何も言わずにかじりつくライアス。
「うまい…。おっさんが作ったのか?」
「オレが作った。おっさんではなく、ノアだ。おっさんと言われても否定できない年月を生きてはきたが。」
暫く、ライアスとドリウスとノアが黙々と氷菓子を食べる。沈黙が流れた。

ライアスとドリウスが氷菓子を食べ終えた頃合いを見計らって、ノアがぽつりとつぶやく。
「本当に怠惰に生きるためにはどうしたらいいかわかるか。」
「怠惰?」
ライアスが聞き返す。
「のんびり生きること、と言っても間違ってはいない。」
ノアの切れ長の目が真剣な光を帯びる。
「怠けて生きることだろ常考。怠け者ライアスは得意だろ?」
「生きたいねぇ、怠惰に!」
ドリウスの言葉に対し、ライアスは悪魔的にクッと笑う。
しかし、その笑みは影を帯びていた。いかに周りに興味が無かったとしても、怠けて生きることができる時代は神ルファンの死と共に過ぎ去ってしまった。