子悪魔ライアス★下克上~Der Traum des Teufels~
「怠惰を求めて勤勉に行き着く。」
ノアの言葉は少ないが、重みがあった。上級悪魔の格の違いか、年月を経た者の貫禄か。
「なんだそれは?」
「人間界の言葉だ。怠惰を求めるなら怠惰でいられる環境を創りあげなければならないということだ。」
ライアスの質問にノアが淡々と答える。ドリウスは残りの料理を食べるのに夢中だ。
「小娘、尻尾を奪われたということは、下僕にされたのだろう。下僕である以上、尻尾を奪った相手の命令に背くことはできないぞ。」
ノアは更に言葉を重ねる。
「小娘。尻尾を取り戻すまで、お前は一生パシリなのだ。尻尾を奪った相手の、な。」
「ダークのパシリか。人使い荒らそうだな、ダークは。」
「ほう、上級悪魔のダークか。今のままでは尻尾を奪い返すことはできんだろうな。」
「うわ、一生パシリなんて嫌だぞ俺は。」
ライアスは心底面倒くさそうな顔をした。心なしか翼もへたれている。

そのライアスにノアは信じられない言葉をかけた。
「一生怠惰に生きるのであれば魔界の頂点に立つしかあるまい。」
「魔界の頂点?それこそ一番面倒じゃん。」
ライアスはますますへたれてしまう。
「魔界の頂点、神。魔界は実力主義だ。ルファン様の世襲ではない。」
「ルファン様に子供っていたっけ。」
料理を食べ終わったドリウスが聞く。
「さあな。いても魔界の神は世襲ではなれない。」
ノアは淡々と答えた。
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