子悪魔ライアス★下克上~Der Traum des Teufels~
勇者志願者達は途方に暮れた。

アーヤの言葉はこうだった。
「魔界の七罪と呼ばれる者達を1人でも倒すのだ。それが叶えば莫大な褒美をとらせよう。」
「上級の悪魔ほど、見た目が麗しい。だが当然強い。くれぐれも己の力量を見誤らぬようにな。」
「既に魔界には密偵を潜り込ませている。天界から攻めてくる娘もいる。まずは娘と合流することだ。」
「娘の外見か?白い羽を持ち、銀髪に紫の娘だ。おそらく最初に悪魔城へ立ち寄るだろうな。」

「さっきの屋敷は悪魔の城ではなかったわけかぁ…。」
勇者志願者のリーダーは老婆と中年男を起こし、暫く休息を取ることにした。
天界の【結界】のカードを発動させる。

目の前に小さな家が現れ、勇者志願者達はその家の中に入っていく。

リーダーの槍使いは溜息をついた。

初めて目にした悪魔同士の戦いと、悪魔と悪魔狩りの戦いは。
悪魔憎しだけで集まった自分たちの力量では手に負えないような気がしたから。

ライアスと呼ばれていた小娘は悪魔狩りの男を護った。
しかし、人間の男を護ったその手で背後からの卑怯な不意打ちで悪魔の翼を奪い、脳天を割ろうとした。
悪魔という存在に対して、まよいが生まれる。

ただ、勇者志願者たちはライアスの目的も七罪であることを知らないだけなのだ。

アフストイと呼ばれていた悪魔が言っていたとおり、勇者志願者の中には悪魔に身内を殺されたり、攫われたりした者が多かった。
「気持ちだけじゃ、ダメってことか…、どうしたらいいのかな…。」

リーダーの言葉は虚しく魔界の夜空へと消えた。
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