子悪魔ライアス★下克上~Der Traum des Teufels~
「ここ数日、色々ありすぎたな…そろそろ水鏡でアーヤ陛下に連絡しないとまずいかも。」
アーヤに報告することを綺麗サッパリ忘れていたライアスであった。
「水鏡くらいなら俺も使えるようになったから、とりあえず銀カップに水入れておけ。」
イブナクが銀のカップに水を入れてくるとライアスが魔法を使った。
下級悪魔だった頃は全く使えなかった魔法。
「WasserSpiegel!」
「ヴァッサーシュピーゲル?」

「イブナクか、待ちわびておったぞ。」
水鏡から声が聞こえる…というよりは頭の中に直接響いていくる感じがした。
「お待たせしてしまったことは申し訳ございませんが。」

イブナクはこれまでにあったことを事細かくアーヤに報告する。
ライアスは暇なのでまたベッドでごろごろしている。

「むぅ、少々まずいことになったな。サキマには余から詫びを入れねばなるまい。」
「本日、一度人間界へ戻ります。御用がありましたらお申し付けください。」
「うむ、わかった。」
水鏡はアーヤから一方的に切られる。

「報告は済んだみたいだな。」
ライアスはイブナクに話しかける。
『ドリウス、ちょいと人間界行ってくる。アフストイが起きたら次のターゲット探しといてくれ。』
初めての念話がドリウスに届くか不安だったが。
『おう。』
無事届いたのか、ライアスの頭の中に直接、ドリウスの声が聞こえる。

「じゃあ転移やってみっか。」
ライアスは初めて自力で転移の魔法を使った。
陰鬱の森はサキマの屋敷から近いので細心の注意を払ったが、特に襲われることもなかった。
「イブナク、ゲート頼む。」
イブナクはライアスの言葉にうなずくと、天界のゲートのカードを使った。

瞬きをする間に。

見覚えがある静寂の森へ転移していた。

蒼い空と、ふわふわした菓子のような白い物体が浮かぶこの世界は、間違いなく人間界だった。
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