子悪魔ライアス★下克上~Der Traum des Teufels~
上級悪魔との契約は確実にサキマに力を与え、サキも新たな七罪の力を得た。

力を得たサキマは先程までは多少弱気になっていたが、少し自信がついた。

「オレ魔法のほうが得意なんだけどサキは何が得意?」
「さぁ?わたしは契約で力をつけてきたから。爪を使った戦いが得意ね。」
「実は強欲と一触即発なんだけどさー。契約した以上は手伝ってもらうから。」
「いいわよ。」
サキはあっさりと了承した。

「ここ、人間が多いみたいなんだけど、どういう算段?」
サキが無遠慮にサキマに訊ねる。
「天界の加護を受けた武器を使わせるために人間を連れてきただけー。」
「…確かに悪魔が相手なら有効ね。」
サキはそう言うとサキマの部屋を出て、屋敷の散策を始めた。

屋敷の人間達の中でサキに見惚れない者はいなかった。

サキは、屋敷の中で、翼を出しっぱなしの悪魔を見つけた。
「あ…ダーク様…。」
中級悪魔だった頃のくせで、様をつけてしまったが、今となっては同じ上級悪魔…同格だ。

「貴女は私を知ってるようだけど、私は貴女を知りません。誰ですか?」
ダークがサキに尋ねる。
「サキです。ライアスを保護していたのに、尻尾を奪ったダーク様ですね。」
ダークは無言だ。それは肯定と受け取れた。
「そしてライアスに翼を奪われた…。」
ダークは相変わらず無言だった。
「ダーク様がよろしければ契約してくれませんか。」
ダークはようやく口を開いた。
「気が向かないので。」
即答である。
「そうですか。」
答えるサキもたいして残念そうな様子はない。

契約をしないのであればサキのほうもダークに用事はないので、屋敷の散策に戻る。
そもそも契約自体、悪魔同士の気紛れや、下級悪魔がつるむためにするものだ。
ダークには七罪との契約以外は不要なのだろう、とサキは思った…が。
「え…じゃぁ…何故ライアスの尻尾を奪う必要が…?」
神ルファンが死去した当時、ライアスに大した力があったとは思えない。

「独占欲…かしら?」
上級悪魔ダークは変人…人間で表現するところの、気難しい…と噂される悪魔だった。
「ライアスを拾って保護するくらいだから、他の悪魔に対する牽制…かしら。」
牽制であった場合、ダークは過保護だと言い切れるだろう。
全ては推測でしかない。ダークの心中はサキには計り知れなかった。
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