子悪魔ライアス★下克上~Der Traum des Teufels~
イブナクは祭り状態になっている村の広場の人混みを掻き分けて騒ぎの中心を見つけた。
「…!」
イブナクは絶句した。
確かに見覚えのある悪魔だった。黒と白の色違いの翼にツインテール。
太陽の下で見た髪の色は桃色というか淡赤というか、とにかく赤系の髪だった。
それよりも驚いたのは村人と普通に談笑しているところだ。悪魔と人間が賑やかにしゃべっているところなんて見たことがなかったからだ。

イブナクは少しイラっとしたのでライアスの両翼の羽を一枚ずつ毟った。
「いてぇ!?てめぇなにすん…え?イブナク?」
「イブナクの知り合い?!」
「悪魔狩りのイブナクと知り合いってことは守護天使なんじゃないの?!」

「こいつは!紛れもなく悪魔。でも様子を見る限り人に危害を加える様子はないので僕の下で一時預かり監視にする!」
イブナクは村人に事実を言い放つ。

「悪魔ってのは悪さする奴らばかりだと思ってたけど話が通じる悪魔もいるんだねぇ。」
「イブナクちゃん、その子可愛いからうちで預かりたいんだけど…。」
「カミュさんダメだよ、どんなに友好的に見えても悪魔は悪魔だし。」
イブナクはカミュと名乗った女性をたしなめる。

「行くぞ。」
イブナクに強く腕を引かれる。
「いてぇいてぇってば!ちゃんとついていくから腕を話せ腕を!」
ライアスがそう主張するので、イブナクは腕を離した。
「あ~痕になるほど掴みやがって…。それに羽も毟りやがったし。」
「両方から1枚ずつ毟ったんだからバランスがいいでしょ。」
「そういう問題じゃねぇよ。」
ライアスは少々いらついたが、怒るのも面倒なのでイブナクの言う通りにしてやることにした。
ライアスは翼を広げ、イブナクに飛んでついていこうとしたが。
「目立つから飛ぶな!人間は飛ばないんだよ普通。翼も隠せ。ついでに歩け。」
「歩くのめんどくせぇ…。」
「いいから言われたとおりにする!」
なんかめんどくせぇことになったかも、と思いつつ、仕方ないので言われたとおりに歩いてイブナクについていくライアスであった。



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