子悪魔ライアス★下克上~Der Traum des Teufels~
「和了っとくか、ツモ。」
ドリウスは麓の村の広場で人間界の遊び、麻雀をやっていた。
「あっちゃー…ドリさんそこは普通和了れないよ…。」
「そもそもよくツモれたなそんな待ち。」
「和了っとくか、って和了る以外の選択肢ないでしょドリさん。」

ドリウスはドリさんと呼ばれ、人間界に溶け込んでいた。
「はっはっは。みんなドリさんに持っていかれちまったな!」

「ドリウス~!」
ライアスがドリウスを呼ぶ。
「どうした?」
ドリウスは麻雀牌を手でかき混ぜながらライアスに訊ねる。
「明日魔界に帰れるんだ!」
「ふむ!」
ドリウスは聞くべきことは聞いたので麻雀に戻った。

ドリウス以外のメンツ…村人は麻雀牌を積み上げながらイブナクに気遣わしげな視線を向ける。
「な…僕は、別に寂しくなんかないぞ。僕も魔界に行ってこいって言われちゃったし。」
「どえぇえええぇぇぇぇぇええええぇぇ!?」
村人3人の絶叫で何事かと他の村人が足を止める。
「ここで遊べるのも今日までか…っ、リーチ。」
「あぁぁあああドリさんそれダブリー!」
ドリウスはニヤニヤしている。

他の村人が寄ってきて、麻雀をしている4人以外に事情を聞く。
「イブナク魔界に行っちゃうの?!」
「ライアスちゃんを1日だけうちにかしてぇぇええぇ、イブナクちゃんーーー!」
「僕が魔界に行ってもサウラーがいるからこっちは大丈夫。あとカミュさん、どんなに可愛くても悪魔は悪魔。何をするかわからないから一般人のうちに置くことはできない。」
「ライアスに何するかわかんないのはイブナ…ぐえぇっ!!!」
ファスが余計なことを言おうとしてイブナクからみぞおちを殴られる。
「どうせチキンで何もできな…おふぅ!!」
ファスが更に余計なことを言おうとして今度はイブナクからスネを蹴られる。
「今夜はカミュさんとこで宴会だな!」
ガルフォートが勝手に決める。

ライアスとドリウスは悪魔としては比較的人間に愛されたほうだろう。
「宴会も構わないし、ライアスと仲良くすることは僕も止めない。でも、悪魔は危険な存在だ。皆にそれだけは絶対に忘れてほしくない。こいつら例外の中の例外なんだ。」
イブナクは更に言葉を重ねる。
「なにしろ、悪魔と人間はここの作りが違うみたいだからな。」
イブナクは黒髪をポニーテールにした自分の頭を指さした。
「そうだな、俺も人間界の習慣はよくわかんなかったや。」
ライアスも同意していた。

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