約束の星



「………っ、」



結果─
俺はこいつ…新山に負けた。



「なんだ…1年で随一の有力選手だって聞いてたのに、その程度の実力かよ。」



ネットの向こうで、新山はつまらなさそうに言った。



「うわ…朝人を『その程度』だって……」



「まぁ、ストレート勝ちだったもんな……」



俺たちの試合を観戦していた他のテニス部員は、全員驚きの表情。



「……んだよ。」



「は…?」



「たった1回勝ったぐらいで……俺の実力全部知ったみたいに言いやがって!!いい気になるなよ!!」



悔しい……
その思いでいっぱいの俺は、新山に向かっておもいっきり叫んだ。



「フッ…想像以上だ。」



俺の叫びを聞いた新山は、表情を崩すことなくそう言って、俺に近付いてきた。



そして、地面に膝をつく俺に手を差し伸べた。



「…気に入った。お前、俺とダブルス組め。」



「なん、だと…?」



ダブルスを組む…?
俺と、こいつが…?






< 31 / 56 >

この作品をシェア

pagetop