約束の星
でも…これで「はい、さようなら」と言う訳にもいかず……
俺はせめてものお詫びにと、彼女を起こした後に近くのベンチまでやって来た。
そして、必死に遠慮する彼女に無理矢理ジュースを奢った。
「申し訳ないです…」
「…いや、それはこっちのセリフだよ。俺が前向いて歩いてなかったから…」
少し間隔をあけて隣同士に座った俺たちの間には、微妙な空気が流れる。
らしくないぞ…俺。
この空気は居心地が悪い。
「あ…そう言えば君さ、1年だよね?何組なの?」
まずは当たり障りのない会話から始めよう。
そう思った俺は、ジュースの缶に視線を落とす彼女に聞いてみた。
「え…?あ、私はD組です。……貴方と、同じ。」
はい……?
「貴方は……水嶋 朝人さん、ですよね?テニス部の、とても面白い方。」
嘘……
同じクラスかよ─