最愛のあなたに
私は今28歳、独身。
自分的にはまだ結婚しなくても大丈夫な年齢だと思っているが、“たまたま”私の友人たちはみんなすぐに結婚していったため、母はいつまでたっても独り身な私にひやひやしていた。
そこに舞い込んできたお見合いの話。
断るわけもない。
しかも相手が大手企業の御曹司と来た。
母は万々歳だ。
しかし、どこにそんな縁があったのだろう。
「……………というわけで、よろしいですか?」
「……はっ、はい!」
(…………しまった、全然聞いてなかった)
「では、今週の土曜の朝10時に迎えに行きますね」
「あ、ありがとうございます」
「いえ、お気になさらず。では今日はこの辺で失礼します」
「ええ、そうですね。私も早く旦那に報告しなくては。孫の顔を見れるのを楽しみにしていますわ」
「では、また土曜に」
.