悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
香川さんの言葉に灯里は思わずぴしりと固まった。
香川さんはくすくす笑いながらちらりと灯里の右手を見る。
「レイ・ピエールの指輪よね、それ。さすが水澤君だわ」
「……へっ?」
「ペアリングでは有名なブランドよ。それをつけてれば彼氏持ちって一目でわかるわ」
「そ、そうなんですか?」
「しかもペアリングにしては相当値が張るからね。そんじょそこらの男ではその指輪を嵌めてる女性に声を掛けようとか思わないはずよ」
「……」
「強烈な男除けって感じかしらね。さすが水澤君、やることが違うわ~」
「……」
「いいわぁ~。私にもレイ・ピエールの指輪を贈ってくれるようなステキな人、いないかしら?」
くすくすと香川さんは笑う。
灯里は香川さんの言葉に固まっていた。
玲士はそういうブランドだと知った上で買ったのだろうか?
玲士があの時即断即決した理由を今になって理解し、灯里は何とも言えない気持ちになった。
「じゃあね、吉倉さん。振伝できたら持ってきてね~」