悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
翌日の土曜。
灯里は海沿いのカフェで玲士とお茶をしていた。
黒いスラックスに白のシャツ、グレーのボーターカーディガンを着た玲士は相変わらずの格好良さで店内の女性達の視線を集めている。
ちなみに灯里は薄ピンクのブラウスにアイボリーのカーディガン、茶色のスカートを身に着けてきた。
灯里にしたら頑張ったほうである。
向かいに座った玲士に、灯里はバッグからラッピングされた小さな箱を取り出してすっと差し出した。
「はい」
「……?」
「来週、バレンタインデーでしょ? ちょっと早いけど渡しておこうと思って」
灯里の言葉に玲士は驚いたように眉を上げた。
そっと右手を伸ばして箱を受け取る。
いつ見ても肌理の細かい、象牙のような肌に思わず視線が吸い寄せられる。
その薬指には銀の指輪が光っている。
「ひょっとして、手作り?」
「うん。あまり自信はないけど」
灯里が言うと、玲士は目を細めて嬉しそうに笑った。
柔らかい、透明感のある笑顔に灯里の胸がドキリと高鳴る。