悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
「ありがとう、嬉しいよ」
いつになく素直な悪魔の言葉に、灯里の胸がさらにドキッとなる。
なぜ渡した方がドキドキしているのだろう。
それも悪魔の魔力と言ったところなのだろうか?
「帰りの新幹線でもらうことにするよ。楽しみだな。お前の手作りって初めてじゃない?」
「そうかもね」
「お前の愛がこもってるって思うと、食べるのが勿体ない気もするよ」
玲士の言葉に灯里は思わず頬を染め、すいと視線をそらした。
――――『愛』。
確かにバレンタインは愛を告白するイベントではある。
黙り込んだ灯里の顔を覗き込み、玲士は悪戯っぽく笑う。
「え? 何? ……これっておれに対する愛の告白でしょ?」
「……っ……」
「お前の愛がこれに詰まってる。違うの?」
玲士の言葉に灯里はうっと背筋を仰け反らせた。
玲士のことはもちろん好きだが、なぜか素直に好きと言えない。
相手が悪魔だからなのか、それとも……。