悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
6.おれが護るから
――――カフェを出た後。
二人は海岸に降り、砂浜を歩いていた。
砂浜には流木や貝殻などが打ち上げられている。
灯里は歩きながら、昔、よくここで晃人と貝殻を拾ったことを思い出した。
年上の幼馴染は波打ち際で手早く貝殻を拾って、魔法のように灯里の手に渡してくれた。
――――懐かしい思い出。
無言で歩く灯里を玲士が横から覗き込む。
「どうしたの? 灯里」
「……ううん、なんでもない」
灯里は慌てて首を振った。
『もう、幼馴染には戻れない』
あの時の晃人の言葉が脳裏に蘇る。
あれから灯里は晃人とは会っていない。
幼馴染に戻れないことは灯里もわかっている。
――――色褪せてしまった想い出。
晃人との想い出は、もうこうして寂しさとともに思い出すことしかできない。