悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
灯里の瞳に寂寥の色がよぎる。
隣を歩いていた玲士は灯里の顔を覗き込み、足を止めた。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない。……綺麗だね、海」
「……あぁ」
「玲士と海に来るのは初めてだね。いつか、海辺に旅行にでも行きたいな……」
灯里は海を眺め、微かな声で呟いた。
その隣で、玲士が眉根を寄せる。
しばしの沈黙の後。
玲士が灯里の肩をそっと抱き寄せ、囁いた。
「連れてってあげるよ。どこへでもね」
「玲士……」
見上げた灯里の唇に、そっと玲士の唇が重なる。
慈しむような優しいキスに、灯里は心がさざめくのを感じた。
「これからお前と想い出を作っていくのは、おれだから」
「……玲士……」
「あいつとの想い出を忘れる必要はないよ。それはお前の大事な過去だからね?」