悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
灯里は思いを振り切るように首を振り、事務服のポケットから携帯を取り出した。
手早く開き、玲士からのメールを確認する。
『今日の夜、電話するから』
相変わらず簡潔な玲士のメール。
けれど今はこのメールを心待ちにしている自分がいる。
数か月前には思いもしなかったことだ。
あれから灯里は一回も東京に行っていない。
何度『行きたい』と言っても玲士に却下されてしまう。
あれほど頑なにダメというのはなぜなのだろう。
灯里はコクリと息を飲んだ。
――――まさか、自分を東京に呼べない理由があるのだろうか。
玲士の気持ちはわかっているのに、つい悪いことを想像してしまう。
自分に自信が持てないからだろうか?