悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
東京に行った玲士は雰囲気が変わり、大人っぽさや落ち着きが出てきたような気がする。
そんな玲士に灯里は吸い込まれるように惹かれていく。
けれど灯里がそう思うのであれば、玲士の周りにいる女性たちもそう思っても不思議ではない。
玲士の職場環境は灯里は良く知らない。
けれどあの美貌であの能力、そしてあの雰囲気であれば、玲士に惹かれる女性も出てくるだろう。
「……っ……」
考えすぎだと思いつつも、一度そう思ってしまうとなかなかその考えが頭から抜けない。
灯里は目を瞑り、重いため息とともに携帯を握りしめた。
――――そう、自分は玲士に恋をしている。
この気持ちはもうはっきりしている。
けれどわがままを言って玲士を困らせるようなことはしたくない。
玲士は今が大事な時期だ。
自分も社会人だ、スタートのこの時期が大事だというのはわかっている。
今は自分の仕事を片付けることに専念しよう。
灯里は缶コーヒーを飲み干し、ゆっくりと立ち上がった……。