悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
タクシーから降りた灯里は定期入れを片手に改札を通った。
定期はICタイプで改札の機械にかざすだけで中に入れる。
あまり残金はないがそんなことを気にしている場合ではない。
電光掲示板を見ると、東京行きの新幹線は12:15に出発するらしい。
「はあっ、はあっ……」
全速力で駆けてきたので息が乱れる。
灯里は肩を上下させながら腕時計を見た。
12:13。
発車まであと2分しかない。
「すみません、通してくださいっ」
灯里は叫びながら新幹線の改札を駆け抜けた。
階段を駆け下り、ホームに出る。
と同時に発車を知らせる音楽が鳴りだした。
もう時間がない。