悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
翌日の夜。
灯里は携帯を片手に玲士からの電話を待っていた。
こんな気持ちで玲士からの電話を待つようになるとは思ってもみなかった。
やがて23時半を過ぎた頃。
携帯が鳴り、灯里は慌てて通話ボタンを押した。
「もしもし?」
『あぁ、灯里。起きてた?』
4日ぶりの玲士の声。
電話越しに響く低いテノールの声に、灯里は胸の奥が温かくなるのを感じた。
『昨日は電話できなくてごめんね。待ってた?』
「ううん、いいの。忙しいんでしょ?」
『4月からの法律改正の対応をしててね。今月いっぱい忙しくなりそうなんだ。お前もそろそろ忙しい時期なんじゃないの?』
玲士は灯里の仕事のことについてはほとんど知っている。
仕事内容も職場の雰囲気も、忙しい時期も、誰とどんな仕事をしているのかも……。
けれど灯里は玲士の仕事のことについてはほとんど知らない。