悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
「じゃああたしが、そっちに……」
『ダメ』
「……っ」
灯里はぐっと言葉を飲んだ。
なぜ玲士はダメだと言うのだろう?
玲士に会いたい気持ちは灯里も同じなのに……。
「なんでダメなの? あたしが東京に行くと何か不都合なことがあるわけ?」
『あぁ、あるね。人攫いに攫われたり、電車に轢かれたり、悪徳商法に引っかかったりするかもしれない』
「……」
『地震が起こって富士山が噴火するかもしれない。北からミサイルが降ってくるかもしれない。そんな危険なところにお前を来させるわけにはいかないよ』
玲士の言葉に灯里はがくっと肩を落とした。
どうやらまともに答える気はないらしい。
玲士の答えはいつもこうだ。
はぁと灯里は重いため息をついた。