悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
3.再会の記憶
4月中旬。
灯里は新入社員の歓迎会に参加していた。
歓迎会は駅前から徒歩5分ほどの居酒屋チェーンの1階を貸切って行われ、既に一通り酒と料理が回っている。
初々しい姿で挨拶する新入社員達を灯里は遠目に眺めていた。
今年の新入社員は全部で5人。
男の子が3人に女の子が2人だ。
「新入社員、か……」
灯里は4年前の入社の時を思い出した。
場所はここではなかったが、灯里も玲士とともに歓迎会に出席していた。
あのとき、初めての歓迎会で緊張していた灯里の隣に玲士がやってきた。
『あ、水澤くん……』
『まさかお前と同じ会社になるとはね?』
『……』
『今でも覚えてるよ。お前の、蛇でも出てきそうなフルートの音色』
『……っ!』
カッと色をなした灯里に悪魔はくすくすと楽しそうに笑った。
――――あの、氷の瞳で。