悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
長谷部は仕事はそこそこできるが、少々女に手が早い。
そして玲士ほどではないが背が高く整った容貌をしている。
玲士はその目をすっと冷やかに細めた。
「普通の子ですよ。長谷部さん向きの女じゃありません」
「なんだそれ。写真とかないの?」
「ないです」
玲士はパタンと携帯を閉じ、手荷物が出てくるレーンへと歩き出した。
長谷部が慌ててその後に続く。
「でもお前と釣り合う顔の女っていったら、相当な美人じゃないか?」
「おれと釣り合う顔の女なんてまずいませんよ」
玲士の言葉に長谷部は一瞬呆気にとられたように仰け反った。
が、すぐに楽しげに笑って、玲士の肩に手を置いた。
「ますます気になるな。どんな女なんだ?」
「だから普通の子です。長谷部さんから見たらサルかミジンコですよ」
玲士は冷ややかな声で言い、動き出したレーンから自分のスーツケースを取った。
そのまま手荷物審査の方にすたすたと歩いていく。
灯里にメールしたいが、長谷部の前でメールするとややこしいことになりそうだ……。
玲士ははぁと内心で息をつき電車の電光掲示板を見た。