悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~



21:00。


玲士は会社で長谷部と別れ、地下鉄に乗った。

マンションの最寄りの駅で地下鉄を降り、マンションへの道を歩きながら携帯を広げる。


あれから電車の中で灯里にメールしてみたのだが、返事がない。

この時間なら、灯里は自宅にいるはずなのだが……。


このあたりはマンションの建設ラッシュでいたるところで工事をしている。

親水公園の脇を抜け、銀杏通りを横切ると玲士のマンションが見えてくる。


玲士はスーツケースを引きながらマンションのゲートをくぐった。

その時。


「――――っ!?」


灯里の姿を見つけ、玲士は息を飲んだ。


……幻、なのか?


灯里はマンションの玄関の横の花壇に腰かけ、うつらうつらしている。

やがて灯里はうっすらと目を開け、ぼうっとした顔で玲士を見るなり口を開いた。


< 133 / 174 >

この作品をシェア

pagetop