悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
1号車。
灯里は隅々まで見渡した。
ずっとここまで歩いて来たが、玲士の姿はどこにもなかった。
私服だからよく見ないと気付かないかもしれないと思い目を皿のようにして探したのだが、いない。
「……っ、水澤くん……」
灯里の視界が滲む。
……もう、玲士に会えないのだろうか?
なんだか今になっていろいろ言いたいことが胸に湧き上がる……。
けれどそれは言葉にならず、灯里の胸の中に痛みと共に広がっていく。
今は、ただ会いたい。
あの悪魔の顔を――――もう一度、見たい。