悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
「……おはよう、玲士」
玲士は一瞬幻でも見るかのように灯里を見た後、美しい瞳を細めて嬉しそうに微笑した。
灯里が傍に居ることが心底嬉しいと、その瞳が告げている。
――――美しい悪魔。
もう灯里の心もこの悪魔に囚われてしまっている。
灯里は玲士を見つめ、震える唇を開いた。
「ねぇ玲士。聞いて?」
「……?」
「……ありがとう」
灯里の言葉に、玲士は驚いたように目を見開いた。
そのまま心を探るようにじっと灯里を見つめる。
灯里は玲士の首筋に指を這わせ、掠れた声で言った。
「あたし、バカだったね。玲士がここまであたしを好きでいてくれたのに、ずっと気付かなかった」
「……っ、灯里……」
「……ごめんね」