悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
「ただいまー。えっと、こちらが……」
と言いかけた灯里の前で。
父と母、そして柾貴が度肝を抜かれたような顔で呆然と灯里の後ろを見つめている。
ふと、灯里が振り返ると。
玲士が別人のような爽やかな笑顔を浮かべていた。
「……っ!?」
あまりの胡散臭さにひぃと悲鳴を上げそうになった灯里の後ろから。
玲士はゆっくりと一歩前に出、優雅な所作でお辞儀した。
「はじめまして。水澤玲士と申します」
いつもの灯里に対する表情、態度とはうってかわった爽やかさ。
――――というか爽やかという形容詞をこの男に対して使ったのはこれが初めてだ。
呆然と目を見開く灯里の横で、玲士は笑顔を浮かべたまま父の誠三を見た。
「灯里さんとお付き合いをさせていただいています。今回はご挨拶と、結婚のお許しを得るために伺いました」
「……」
父も母も柾貴も、呆然としたまま言葉が出ない様子だ。
灯里も呆然としていたが、やがて気を取り直して両親を見た。