悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
「えっと、上がっていいかな? 客間でいいよね?」
「……そ、そうね。どうぞ」
母は魂の抜けたような顔で廊下の方を見る。
父と母は呆然としたまま客間へと歩き出した。
灯里と玲士も靴を脱ぎ、玄関を上がる。
と、横で柾貴がぼうっと玲士を見上げていた。
「ね、ねぇお姉ちゃん。……この人、神様か何か?」
いや、その対極の存在だよ?
と言おうとした灯里だったが、爽やかで明るい笑顔を浮かべた玲士は生来の美貌も相まって天使か神様のように見えなくもない。
灯里はある程度免疫があるが、初対面の人間にこの笑顔を見せたらこういう反応になるのも頷ける。
灯里からすると胡散臭いことこの上ないが……。
客間に入った二人は案内された椅子に座った。
母はお茶を淹れにキッチンへと行き、対面しているのは父の誠三だ。
父は相変わらず魂の抜けた様子で玲士を見ている。
――――何という魔力。
灯里は玲士の横に座り、口を開いた。