悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
「え、えっと、今日は……」
と言いかけたところで。
玲士が父の誠三に向かって口を開いた。
「お話の前に。まず初めに謝罪させてください」
「……?」
「灯里さんの件で。過日は大変失礼なことを致しました」
「……はぁ」
「お怒りとは思いますが、僕は灯里さんを心から幸せにしたいと思っています。どうかお許しくださいますよう、お願い致します」
玲士は言い、その艶やかな黒髪を揺らして頭を下げる。
――――てか『僕』って何だ!?
と絶叫しそうになる灯里の前で、父の誠三は面食らったように玲士を見ていた。
「は、はぁ……」
父の口からは『はぁ』としか出てこない。
あの怒りは一体どこへ消えてしまったのか?
悪魔の力恐るべし。
灯里は無言で二人の顔を見比べていた。
とそこにお茶を淹れた母が戻ってくる。
その手はなぜかカタカタと震えている。