悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
灯里は内心ではーっと息をつき、玲士の隣に座った。
母も父の隣に座る。
「じゃあそろそろ、紹介するね。こっちが父の誠三で、こっちが母の智子」
「……」
「で、さっき玄関にいたのが弟の柾貴。今年から高校に入ったの」
灯里の言葉に、玲士は頷きながらそれぞれ視線を投げる。
その視線の直撃を受けた母は、ぼーっと吸い込まれるように玲士を見つめている。
「じゃあ玲士、自己紹介よろしく」
灯里の言葉に玲士は頷き姿勢を正した。
相変わらずの胡散臭いまでに爽やかな笑顔で微笑み、口を開く。
「水澤玲士です。灯里さんとは中学の時の吹奏楽部の部活で知り合いました」
「……」
「昨年まで灯里さんと同じ忍村商事に勤めていましたが、今は東京の国際会計事務所で管理会計・財務会計の業務に携わっております」
「……」
「実家は同じ市内です。家族構成は……」
玲士は低いテノールの声ですらすらと言う。
両親の頭に入っているか、正直怪しい感じではあるが……。
灯里は冷や汗をかきながら、玲士の自己紹介を聞いていた。