悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
「しかも、所持金が1000円切ってるって、どういうこと?」
「……うっ」
「おれに会えたからいいようなものの。会えなかったらお前、帰れなくなるよ?」
灯里はうぅと俯いた。
――――何も言い返せない。
あれからICカードの残金と財布の中身を見てみたが、お金がほとんど入っていなかった。
玲士に会えなかったらと思うとゾッとする。
「それにその格好。事務服でコートも着てないって、今の時期自殺行為だよ? それ」
「ううっ……」
灯里は急いでいたあまり、事務服のままコートも着ずに来てしまった。
新幹線の中は暖房が入っているのでいいが、ブラウスにベスト、スカートという格好ではさすがに外を歩くには寒い。
「まぁいいよ。それだけ、おれに会いたかったってことでしょ?」
「……っ」
「お前はもう、おれのもの。絶対に離さないからね。覚悟しなよ、灯里?」
玲士は微笑い、楽しげな声で言う。
灯里はカッと頬を染めた。
すごいことを言われているのに素直に受け入れられないのは灯里のせいではない。