悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
「お、おれのものって……あんたっ……」
「あぁ、そうだ。後で連れてくけど、おれの新しい住所。メールで送っておくよ」
玲士は胸ポケットから携帯を出し、手早くメールを打った。
やがてブルルッという音とともに灯里の携帯にメールが届く。
灯里は携帯を開き、メールを確認した。
「……江東区?」
「そ。都心まで電車で30分ぐらい。普通のマンションだよ」
既に住む場所は決まっているらしい。
灯里は首を傾げた。
「ちなみに今日は引越作業。人手が増えて助かるよ」
玲士は灯里を見つめ、くすりと笑う。
灯里は呆然と玲士を見上げた。
「人手、って……」
「着いたらすぐにマンションに行くからね。今のうちに休んでおいた方がいいよ」
玲士の言葉に灯里ははぁぁと肩を落とした。
どうやら悪魔は灯里に引越作業を手伝わせるつもりらしい。
――――やはり悪魔は健在だ。
しかしここまで来てしまった以上、今日はこの悪魔に付き合うしかない。
灯里は息をつき、ことんと玲士の胸に凭れ掛かった……。