悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~


12/20。


灯里は書類を片手にパソコンへの入力作業を行っていた。

仕入先からの納品書をもとに、販売管理システムに商品コードや入庫数を入力していく。

以前は山岡課長や他の課員に渡された書類をただ入力しているだけだったが、玲士にいろいろ教えてもらったおかげでこういった書類の意味がわかるようになった。


『その人間関係を、大事にしなさい』


いつかの真木部長の言葉が胸に蘇る。

今となっては玲士が同僚で良かったと思う。

一方的に教えてもらうばかりで、灯里からはまだ何も返せていないが……。


灯里は手を止め、目を伏せた。

――――なぜ玲士は自分のことが好きなのだろうか?


玲士の能力は灯里の能力を遥かに上回る。

あの容姿を考えても、付き合う相手には困らないはずだ。

……黙っていればという制約はつくが。


玲士が自分を好きになる理由など、いくら考えても思いつかない。

最初は下僕とかからかいがいのあるオモチャとして『好き』と言っているのかと思ったりもしたが、どうやらそうではないらしい。

あの切なげな、真剣な瞳を前にすると灯里は身動きできなくなってしまう。


『何年かかっても、おれはお前を振り向かせるから。最後にお前を手に入れるのはおれだよ』


給湯室での玲士の言葉がなぜか心に引っかかる。

――――なぜだろう。


考えてもわからない。

灯里ははぁと息をつき、再びキーボードを叩き始めた。


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