悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
2.帰したくない
二時間後。
片付けはだいたい終わり、生活できる空間が出来上がった。
ふぅと息をついた灯里の全身を玲士はじろじろと見る。
「……なんか埃っぽいね、お前」
「しょうがないでしょ、作業してたんだから。水澤くんも人のこと言えないでしょ?」
「まあね」
玲士はしばし灯里を見下ろした後、リネンスペースの棚から服とタオルを取って灯里に手渡した。
「なに、これ?」
「着替えとタオル。シャワー浴びてこれに着替えて」
「へっ?」
目を見開く灯里に、玲士は肩を竦めた。
まじまじと灯里を見下ろし、続ける。
「お前、その埃まみれの格好で新幹線に乗る気?」
「……」
「お前の服、洗濯して乾燥機にかけるから。早くして」
玲士が使っている洗濯機は乾燥機能付きで、一時間もあれば乾燥が終わるらしい。
へぇと目を丸くした灯里を洗面所の方に追いやり、玲士はリビングの片づけを始めた。
改めて自分の全身を見てみると、事務服のあちこちに埃がつき黒く汚れている。
確かにこの格好で新幹線に乗るのはちょっとまずいかもしれない。
灯里は大人しくシャワーを借りることにした。