悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
今日あの新幹線の中で灯里を見た時、玲士は心臓が止まるかと思った。
幻なのかと思った。
灯里に会いたいあまり、自分の心が見せた幻なのかと……。
忘れようと決心するまでどれほど苦しんだか、どれほどの思いで灯里を忘れようとしたのか……。
灯里は知らない。
けれど血を吐くような思いで忘れようとしたのに、一目見ただけで心はまっすぐ灯里に飛んで行ってしまう。
決心など塵のように吹き飛んでしまう。
灯里に触れてその暖かさを感じた瞬間、玲士は腕を伸ばして灯里を抱きしめていた。
――――もう離したくない。
こうしてずっと傍にいて欲しいと、心の底から願った。