悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
玲士は指を伸ばし、灯里の唇にそっと指先で触れた。
――――灯里は自分のことをどのくらい好きなのだろうか?
灯里は多分衝動的に新幹線に乗ったのだろう。
退職すると知ってとっさに追いかけてきてくれるぐらいには好きなのかもしれない。
けれど恐らく晃人が同じことをしたら同じように追いかけるはずだ。
そのレベルの『好き』なのだと玲士もわかっている。
今日ここに来たのも流れで来ただけだ。
玲士とそういう関係になるつもりで来たわけではない。
だから玲士も、今日は灯里を帰そうと決めた。
灯里の嫌がることをしたくはない。
灯里を大事にしたい。
けれどもう、後には引き返せない。
灯里がこうしてここまで来てくれた、それだけで心の底から嬉しさが湧き上がる。