悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~



12/21。


灯里はファイルを抱えて3階への階段を登っていた。

3階の書庫には納品書や請求書を保存する棚がある。

こういった書類は法律で保管期限が決まっており、灯里も月に一度、前月の書類をまとめて書庫の棚に収めている。


灯里は書庫に入り、辺りを見回した。

以前来たとき、玲士がここで資料をめくっていたことを思い出す。

『氷の王子』と呼ばれるに相応しい、美しくも冷たいその横顔……


あれから半年が過ぎた今、灯里の中で悪魔の立位置は微妙に変わっている。

前はただの悪魔だと思っていたが、今は……。


玲士の顔を思い出すと、なぜか鼓動が高鳴る。

灯里はファイルを棚に置き、逃げるように書庫を出た。

ふと経営企画室の方を見ると沢井室長と都筑さんの姿が見える。

――――玲士の姿はない。

会議か何かに出ているのだろうか?


灯里は首を傾げつつ踵を返し、2階へと降りた。


< 4 / 174 >

この作品をシェア

pagetop