悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
12/21。
灯里はファイルを抱えて3階への階段を登っていた。
3階の書庫には納品書や請求書を保存する棚がある。
こういった書類は法律で保管期限が決まっており、灯里も月に一度、前月の書類をまとめて書庫の棚に収めている。
灯里は書庫に入り、辺りを見回した。
以前来たとき、玲士がここで資料をめくっていたことを思い出す。
『氷の王子』と呼ばれるに相応しい、美しくも冷たいその横顔……
あれから半年が過ぎた今、灯里の中で悪魔の立位置は微妙に変わっている。
前はただの悪魔だと思っていたが、今は……。
玲士の顔を思い出すと、なぜか鼓動が高鳴る。
灯里はファイルを棚に置き、逃げるように書庫を出た。
ふと経営企画室の方を見ると沢井室長と都筑さんの姿が見える。
――――玲士の姿はない。
会議か何かに出ているのだろうか?
灯里は首を傾げつつ踵を返し、2階へと降りた。