悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
物凄い力で後ろから玲士に抱きしめられ、灯里は息を飲んだ。
硬直した灯里の頭の上から玲士の氷のような声が降ってくる。
「お前、……明日あいつと、約束してるの?」
「ち、ちがうのっ! これはっ……」
「……何が違うって?」
玲士の声に、灯里はヒッと喉を鳴らした。
――――まずい、誤解されている。
灯里は首を振り、慌てて玲士を振り返ろうとしたが強く抑え込まれているため身動き一つできない。
焦る灯里の手から、玲士が素早く携帯を取り上げる。
あっと思う灯里の目前で、玲士はそのまま勢いよく腕を振り下ろした。
携帯が玄関の扉に勢いよく叩き付けられ、ガシャーンという音とともに木端微塵になって玄関に散らばる。
「……っ……」
灯里は血の気の引ききった顔でその光景を見つめていた。
――――あまりのことに言葉も出ない。
玲士の顔が見えないのが、怖い。
呆然とする灯里を、玲士は後ろからさらに強く抱きしめる。