悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
灯里の気持ちが追い付いていないのは玲士もわかっている。
明確な好きという感情ではなく、灯里は流されているだけだ。
そうわかってはいた、けれど……。
――――このまま、二人で戻れないところまで行ってしまいたい。
きっかけは晃人のメールだが、玲士は心の奥底でそう思っていた。
戻れないところまで、灯里と二人で行きたい……。
その想いを玲士は抑えることができなかった。
「灯里……」
灯里がこのまま帰らなければいい。
ここでずっと自分と一緒に暮らせばいい。
ついそんな風に考えてしまう。
世の中の男女がなぜ結婚するのか……。
玲士はこれまで結婚に何の価値観も抱いていなかった。
けれど今、玲士は男女がなぜ結婚するのか心の底から理解していた。
―――― 愛する人と、一時も離れたくないからだ。