悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
「何、百面相してるの」
「う、ううん、何でもないっ」
「コーヒー、おかわりあるよ? 飲む?」
玲士はコーヒーサーバーを指差して言う。
灯里は思わず観察するようにじーっと玲士を見てしまった。
なんだか悪魔が優しくなっているような気がする。
悪魔の根城だからだろうか?
それとも捕らえた獲物には優しい……とか?
灯里はこくりと頷いた。
玲士は灯里のカップを取り上げ、手早くコーヒーを注ぐ。
「はい」
「ありがと」
カップを手にした灯里の前で、玲士はゆっくりと立ち上がった。
洗面所に行き、外出用の私服に着替えて戻ってくる。
焦茶の細身のノータックパンツに薄黄色のシャツ、その上に白いセーターを着たその姿は相変わらず見惚れるほどカッコいい。
玲士はテーブルの上のメモを取り上げ、財布をポケットに突っ込んだ。
「じゃあ、行ってくるから」