悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
言いながら玲士は椅子を引いて灯里の向かいに座る。
灯里はちらりとシャンパンのビンを見た。
ビンの下方に『アルコール度数 : 13%』とある。
これを水というなら悪魔はザルなのかもしれない。
「じゃあ乾杯しよう。メリークリスマス、灯里」
玲士は目を細め、にこりと笑ってグラスを掲げる。
――――宗教的なところは大丈夫なんですか?
と思わず言いそうになった灯里だったが、その穏やかな笑顔に慌ててグラスを取った。
玲士はいつも冷たい顔をしているので、たまに見せるこういう表情に灯里は弱い。
もともと整った透明感のある美貌が更に透明感を増し、ついボーッと見入ってしまうような美しさがある。
「さぁ、どうぞ。万遍なく食べなよ?」
その言葉に灯里は電機産業展の時のことを思い出した。
あの時も玲士は同じようなことを言っていた気がする。
――――なんだか懐かしい。
灯里はスプーンを手にし、自分の前に置かれたオムライスを見た。
見た目は完璧、漂う香りも食欲をそそりとても美味しそうだ。
何も言われなければシェフが作ったと思うだろう。