悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~




言いながら玲士は椅子を引いて灯里の向かいに座る。

灯里はちらりとシャンパンのビンを見た。

ビンの下方に『アルコール度数 : 13%』とある。

これを水というなら悪魔はザルなのかもしれない。


「じゃあ乾杯しよう。メリークリスマス、灯里」


玲士は目を細め、にこりと笑ってグラスを掲げる。

――――宗教的なところは大丈夫なんですか?

と思わず言いそうになった灯里だったが、その穏やかな笑顔に慌ててグラスを取った。


玲士はいつも冷たい顔をしているので、たまに見せるこういう表情に灯里は弱い。

もともと整った透明感のある美貌が更に透明感を増し、ついボーッと見入ってしまうような美しさがある。


「さぁ、どうぞ。万遍なく食べなよ?」


その言葉に灯里は電機産業展の時のことを思い出した。

あの時も玲士は同じようなことを言っていた気がする。

――――なんだか懐かしい。


灯里はスプーンを手にし、自分の前に置かれたオムライスを見た。

見た目は完璧、漂う香りも食欲をそそりとても美味しそうだ。

何も言われなければシェフが作ったと思うだろう。


< 62 / 174 >

この作品をシェア

pagetop