悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
「生のトマトだけダメなの。どうもその味がね……」
「……」
玲士は灯里の顔とトマトを見比べた後、椅子を引いて立ち上がった。
トマトが載った小皿をキッチンへと持って行き、小瓶をいくつか取り上げてぱぱっと振る。
首を傾げる灯里の前に、玲士はトンと皿を置いた。
「食べてみて?」
「……?」
「バジルと粉チーズと塩胡椒、あと少しオリーブオイルをかけてみた。一口、食べてみて」
玲士は有無を言わせぬ調子で言う。
灯里は玲士の顔とトマトをしばし見比べた後、恐る恐るフォークをトマトに伸ばした。
ぷすりとさして恐る恐る一口食べる。
口に入れた瞬間、灯里は思わず目を見開いた。
「……おいしい」
予想だにせぬ美味しさに、灯里はそのまま全部食べてしまった。
目を輝かせた灯里に玲士は少し笑う。