悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
「灯里……」
玲士の脳裏に灯里の面影がよぎる。
忍村商事の最終出社日は12/19で、もう玲士は忍村商事に行くことはない。
灯里とももうしばらく会うことはない。
まだ3日しか経っていないのに、灯里と会えない辛さが身に染みる。
次に会うのは一体何年後になるのか……。
離れている間に灯里は晃人と結ばれ、最悪結婚するかもしれない。
玲士が戻る頃にはこの町には居らず、下手したらもう二度と会えないのかもしれない。
そう想像しただけで胸が張り裂けそうに痛む。
「……っ」
自分で納得できる自分になるまで灯里には会わない、想いを封印して灯里を忘れる。
そう決めたのは自分自身だ。
けれど……。
「灯里……」
忘れようと思えば思うほど、忘れられない。
けれど忘れなければ、自分は前に進めない……。
玲士は俯き、ぐっと唇を噛み締めた。
想いを振り切るように肩で大きく息をつく。
そしてゆっくりと、部屋を出て行った……。
<***>