悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
そして今、玲士の右手には銀色に輝く指輪がある。
灯里とお揃いの指輪。
――――二人の始まりの指輪。
玲士はゆっくりと立ち上がった。
明日は面接だ。
まずはやらなければならないことを着実にこなしていかなければならない。
灯里との未来のために、一日でも早く新しい職について安定したい。
一日も早く納得できる自分になって、灯里を迎えに行く……。
灯里さえいれば……
どんな試練にでも、どんな勝負にでも、勝てる気がする。
あの中学の時の出会いの日から、灯里はいつでも玲士の心を照らしてくれた。
そして今はこれまでにない輝きで玲士の心の中にいる。
いつかは自分も灯里の心を照らすような人間になりたい。
そのために自分の持つすべての力を発揮し、自分に誇れる人間になる。
ビル群の間に東京の狭い空が見える。
自分がこれから戦うべきフィールドはあの先にある。
玲士は空を見上げながら、ゆっくりと歩き出した……。