悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
四章
1.幼馴染には戻れない
――――数日後。
大晦日を二日後に控えた日の夜。
灯里は年末の大掃除をしながら自分の部屋を片付けていた。
クローゼットの中には玲士のコートがかかっている。
コートからはまだほんのりと甘いウッドノートの香りが漂っている。
あの日。
帰宅した灯里を父の誠三はものすごい勢いで怒鳴りつけた。
『お、お前っ! 二日も続けて無断外泊とはどういうことだっ!?』
父の剣幕に灯里はヒィと仰け反った。
――――そういえば家に連絡してなかった。
と気付いたのは家に入ってからだった。
玲士との3日間で頭がいっぱいだった灯里は、襲ってきた現実に頭がくらっとするのを感じた。
『携帯に電話しても繋がらないし、しかもお前、それは男物のコートじゃないかっ!?』
『……うっ……』
事実なので何も言い返せない。
誠三は普段は温厚なのだが怒らせると物凄く怖い。
何年かぶりの父の大目玉に、灯里はひたすらごめんなさいと言うしかなかった。