悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~
「お前が水澤を選んだ以上、俺はもう何も言うことはできない」
「……っ、晃くん……」
「だがもう、……幼馴染には戻れない」
晃人は掠れた声で言い、灯里の頬にそっと手を伸ばした。
――――昔から灯里を安心させてくれた、温かくて大きな手。
「俺はお前を困らせるようなことはしない。ただ……」
「……」
「お前が幸せになってくれないと俺はまた夢見てしまう。だからあいつと幸せになれ、灯里」
呆然と見上げる灯里の髪を軽く撫で、晃人は目を細めて笑った。
そのまま踵を返し、車に戻る。
――――やはり、晃人は大人だ。
やがて車にエンジンがかかり、静かに動き出す。
道の向うに遠ざかっていくジーマを灯里はじっと見つめていた……。